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「成長させる食材」「身長を伸ばす食材」というと肉や魚、野菜などが思い浮かぶと思います。もちろんそれらは体を作る原料となる食材ですが、子どもによっては好き嫌いが激しく、それらを進んで食べないということもあります。
しかし子どもの成長を促してくれる食材は他にも色々とあるのです。意外なところでは「スイカ」というのもそうです。
夏に食べる美味しいもの、というイメージが強いスイカですが、実は栄養素も多く含んでい食材でもあります。ここではそんなスイカについて紹介していきたいと思います。
夏にスイカを食べるその訳は!?
まず、スイカと言えば夏ですが、夏にスイカを食べるのにも理由があります。
夏は熱中症対策として水分の補給は必須ですが、スイカはその90%以上が水分で、そこに糖分やミネラル分が豊富に含まれているので、理想の食材となるのです。
スイカに塩をかけて食べる人がいますが、これらの成分に塩分が加わることで栄養ドリンクやスポーツドリンクのような働きが期待できるようになることが関係しています。
この栄養素のために昔からスイカは薬膳として使用されてきました。16世紀に中国で記された「本草綱目」にはスイカの薬効として、
「利尿効果、二日酔い防止、血尿防止、肌荒れ防止、炎症を鎮める、腰痛予防」を挙げています。
中には「スイカは甘いので食べると太るのではないか」心配されることもありますが、スイカはそのほとんどが水分です。
そのカロリーは100g中に37kcalほどで、根菜類の野菜よりも低いということがわかっています。そのためダイエット食材としても使われることがあるほど肥満には関係のない存在でもあるのです。
スイカに含まれるアミノ酸
スイカの含む栄養素として非常に重要なのが「シトルリン」というアミノ酸です。これはスイカから発見された成分で、名前の由来もスイカから来ています。
血圧抑制、血流改善などの効果があるために、手足のむくみを解消してくれます。そもそもむくみは血流が悪くなって水分が溜まってしまうことで起こります。
それを解消してくれるのがシトルリンなのです。高い利尿効果があり、腎臓病や心臓病の予防にも関係していると言われています。近年の研究で、シトルリンには血管を柔らかくしなやかにする効果があることもわかってきています。
この成分は欧米でも注目されています。アメリカでは血流改善、滋養強壮、動脈硬化や心筋梗塞の予防などを目的としてシトルリンを含むサプリメントが販売されています。
ヨーロッパ諸国では滋養強壮、疲労回復を主として医薬品として販売されています。
そしてβ-カロテンです。緑黄色野菜の代表ともされる栄養素ですが、スイカも100g中に
800μg含んでいますので、「緑黄色野菜」としての条件も満たしていることになります。
β-カロテンはがん防止や免疫力の向上効果がある成分で、体内に入るとビタミンAに変化します。
ビタミンAは新陳代謝を促進し、肌や髪などを健康に保ちます。肌はみずみずしく、髪は色艶が良くなるとされています。
さらに眼精疲労や視力回復にも働くために、目を酷使しやすい成長期の子どもには必要な栄養素と言えます。そして肌細胞を若返らせる働きからアンチエイジング効果も非常に見込まれています。
そして次に大事なものが「リコピン」です。これはトマトに多く含まれていることで有名な成分ですが、細胞の老化を進めてしまう活性酸素を抑制する働きがあるために老化防止に役立ちます。
免疫力の向上、呼吸器系の健康維持、体脂肪燃焼効果など様々な働きが注目されています。そのリコピンをトマトよりも多く含んでいるのがスイカなのです。
ビタミンCにはシミの元になってしまうメラニン色素の生成を抑制する働きがあります。
肌をぷるぷるにして弾力を上げてくれるコラーゲンの生成に関わって美肌効果をさらに向上させてくれるのです。
カリウムもスイカには100g中に120mg含まれています。カリウムは疲労回復効果のほかに、体内の余計な水分や糖質を排出してくれる働きがあります。
さらに血流を安定してくれます。これは高血圧や動脈硬化、心筋梗塞などの予防に大変役立ちます。
カルシウムと結びつくことで骨の密度を濃くするという働きも行います。これによって骨が健康的に伸びることにつながってくるのです。成人にとっては骨粗しょう症の予防になります。
この他にもスイカにはビタミンB1やB2、カルシウム、リン、鉄分、ミネラル分、グルタミン酸、アルギニンなどがバランスよく含まれています。カルシウムはリンと結びつくことで骨を作る土台になります。
そしてそれらの消化吸収率を上げているのが鉄分やミネラル分です。これらは同時に骨、肉、血を作る材料ともなって成長を促していきます。
さらに骨を強化してくれるのがアルギニンです。骨の密度を上げるほかにも免疫力の向上やがん防止などにも効果があります。これらの成分は単独でも十分に働いてくれますが、カルシウムとリンのように組み合わさることで効果が向上するものも多くあります。
それらがバランスよく含まれているスイカは非常に優秀な栄養源だと言えるでしょう。
スイカは夏に食べるおやつとしての位置づけが定着していますが、実はその栄養分はかなり高いものであることが判明しています。
水分がほとんどのために食べても肥満につながることもなく、高い利尿効果で水分の摂りすぎにもつながりません。
また、ビタミン類や鉄分、ミネラル分などをバランスよく含んでいることで健康的に体を成長させることができる食材でもあります。