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これを食べれば絶対に身長が伸びる、そのような魔法の食べ物はありません。しかし「身長が伸びることを大きく促してくれる」食材はあります。
それはカルシウム、タンパク質、ビタミン、鉄分、ミネラル分などを高いバランスで含んでいる食材です。これらの栄養素が組み合わさって健康的に成長を促していくことができるのです。
ここではそんな食材の代表として「煮干し」を紹介していきたいと思います。
そもそも煮干しとは
一般的に煮干しと言えばカタクチイワシからできるものを言いますが、マイワシ、ウルメイワシ、トビウオ、マアジなどを原料とすることもあります。
これらを80~100度でじっくりと煮込んで、その後太陽光などでしっかり乾燥させたものが煮干しです。そしてできた煮干しはまさに栄養素の宝庫です。
まずはタンパク質です。煮干しは全体の約70%ほどがタンパク質でできています。
これは牛肉や豚肉と比べてもそれほど劣るものではありません。タンパク質は筋肉や髪などの細胞を作る元になるほか、カルシウムと結びついて骨を生成する原料にもなります。
この良質なタンパク質を摂取できるのが一つ目の利点と言えます。
そしてカルシウムです。煮干しは100g中に2000mgという高い含有量でカルシウムを含んでいます。
これだけでも十分なのですが、煮干しにはビタミンDも含まれているためにそのカルシウムの吸収率をさらに向上させているのです。
ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成することもできるのですが、これでは不足するために他から摂取することが必要となるのです。
ビタミンDはカルシウムとリンの吸収率を向上させるほか、血糖値を下げる働きもあります。
これらを考えると特に脂肪などの取り過ぎが考えられる人には肉よりも煮干しの方が向いているのかもしれません。
煮干しに含まれるEPA・DHA
EPAは体内で生成することができない成分です。オメガⅢ脂肪酸で血液中から中性脂肪を減少させ、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やすという働きがあります。
そのため血流をスムーズに安定させて血栓予防、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、高脂血症、狭心症など多くの成人病を予防することができます。
DHAは青魚に多く含まれる成分です。こちらも血液をサラサラにする効果があり、様々な病気の予防になるほか、脳を活性化させる働きがあるのが特徴です。
この働きによって学習能力、記憶力が向上する効果をもたらしてくれるために学生にはありがたい成分となっているのです。
ただしこの成分は酸化して効果を失いやすい成分でもあるために、β-カロテンやビタミンCなどの抗酸化作用がある食品と同時に摂取するのが効果的と言えます。
煮干しに含まれるビタミンB2は余分な脂質を分解してエネルギーに変換することができます。
このエネルギーは運動などをするときに使用されるほかにも細胞が再生、修復されることにも使われるためにこれも成長に影響してきます。
豊富なミネラルやアミノ酸
成長期の子どもや女性に多くみられるのが貧血です。これは成長に伴って体が大きくなることに血液の造成が間に合っていないことや、女性特有の月経などで血液が不足することで起こります。
それを解消するには鉄分とミネラル分を摂取することが必要になります。煮干しに含まれる鉄分は含有量も優秀ですが、さらに吸収率も高いために非常に効果的です。
また、煮干しはカルシウムやタンパク質と結びついて骨を形成する「リン」を多く含んでいる食材です。
特にウルメイワシの煮干しには色々な食材の中でもトップクラスの含有量を誇っています。
この他にもカリウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガンといったミネラルを含んでいることが長所と言えます。その中でもマグネシウムや亜鉛はカルシウムと結びついて骨を生成することにも使われます。
骨を生成するのにはカルシウムだけではなく、これらのミネラル分が必要であることを覚えておきましょう。
そして疲労回復のために飲む健康ドリンクなどに含まれているタウリンですが、煮干しにはこのタウリンも含まれています。それも100g中に500mgとかなり多く含んでおり、肝機能の安定、疲労回復に役立ちます。
活発に行動する成長期の子どもにとってもタウリンは即効性があるために、すぐにエネルギーへと変換できることが利点になります。年配の人だけでなく子どもにとってもありがたい成分なのです。
必須アミノ酸の一種であるチロシンは精神の安定効果や集中力を高める効果があります。イライラしやすい思春期や集中力が必要となる成長期の子どもには武器となる成分と言えます。
煮干しの注意すべき点は?
良いことだらけの煮干しですが、注意しないといけないことは「食べ過ぎ」です。
乾燥させたものがおやつ代わりになるために気軽に食べることができる煮干しですが、少し塩分やプリン体が多いという短所もあります。
ある程度の量は問題ありませんが、食べ過ぎるとそれが高血圧などの原因になることもあります。
また、もともとは魚であるために長期間の保存には向いていません。傷みやすい食材であることを踏まえて、できれば短期間に食べきるようにしましょう。
カルシウム、タンパク質、鉄分、ミネラル分を多く含んでいる煮干しは手軽に摂取できる食品としては非常に優秀な食品です。
色々な料理に使用しやすいという長所もあります。よほど食べ過ぎない限りは体の成長の大きな助けとなってくれます。