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「成長期なのに肉ばかり食べて野菜を食べない」と心配される保護者の方がいます。
確かに成長を促す栄養素は野菜にバランスよく含まれていることがあります。しかし肉に何も栄養素がないわけではありません。
実は肉には健康に成長を促す栄養素が多く含まれているのです。そこでここでは「牛肉」について述べていきたいと思います。
動物性タンパク質と必須アミノ酸とは
牛肉に含まれる「動物性タンパク質」には体内で生成することができない必須アミノ酸が多く含まれています。
この必須アミノ酸は野菜などに含まれる植物性タンパク質よりも体内に吸収されやすく、エネルギーに変換しやすいのが特徴です。
タンパク質は筋肉や皮膚、髪、爪など様々な細胞を生成します。また、カルシウムと結びつくことで骨を作り出します。まさに成長に不可欠な成分です。
タンパク質が不足すると免疫力が低下するためにウイルス系や病原菌系の病気にかかりやすくなります。
体力も全体的に落ちて疲れやすくなり傷の治りも遅くなっていきます。髪や皮膚は潤いを無くしてパサパサになり老けて見られるようになります。これは肌や髪を艶良く張りを与えるのがタンパク質の一種であるコラーゲンであることが関係しています。
脂質はダイエットなどの妨げになるために避ける人が多くなってきています。ヒレやモモなどは脂質が少なくタンパク質が多く含まれているために筋肉を増強したい人や女性などに好まれています。
しかし脂質はまったく取らなければそれはそれで問題です。脂肪の一種であるコレステロールは摂取しすぎると肥満や高血圧、高脂血症などの原因になります。
ところがコレステロールはホルモンや胆汁酸、ビタミンDなどを生成する原料になる栄養素でもあるのです。
牛肉や豚肉にはイメージほどコレステロールは含まれていません。もちろん食べ過ぎはいけませんが、ある程度の摂取は体には必要なのです。
成長ホルモンの分泌にも関係してくるために成長期の子どもにはなおさら必要であると言えます。
牛肉ダイエットはなぜ可能?
「牛肉ダイエット」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?牛肉などを食べて痩せられるはずがないと思われがちです。むしろ太りそうなイメージがあるのですが、実は牛肉だけを食べていても太ることはありません。
太る原因になっているのは肉と共に食べている米飯やビールなどのアルコールなのです。むしろ牛肉にはダイエットに関係している成分が多く含まれています。
まずビタミンB2です。ビタミンB2は美容ビタミンと言われるほど美容効果が高い成分です。
肌にほどよい潤いを与えるとともに余分な脂肪を燃焼させてくれる働きがあります。さらにニキビや肌荒れを防いで、張りのある綺麗な肌にする効果もあります。
ビタミンB2が不足してくると鼻の頭などは脂っぽいのに他の皮膚はカサカサという状態になってきます。肌は荒れてニキビなどの吹き出物も出てきます。
また、ビタミンB12は血を作るビタミンと言われています。髪の色艶を良くして張りを持たせると同時に血色を良くすることで顔色なども健康的になっていきます。
このビタミンにも脂肪を燃焼させる働きがあることでダイエットにも効果を発揮します。
そして「カルチニン」です。カルチニンは血液をサラサラにして余分なコレステロールを排出してくれます。
そして脂質も燃焼させることでエネルギーに変換しますので、成長期の子どものエネルギー補給にも助けとなると同時にダイエット効果も高めてくれる成分と言えます。
つまり牛肉を食べることこそがダイエットと言えるのです。
成長に欠かすことのできないミネラル
そして成長に欠かすことのできない鉄分、ミネラル分です。牛肉にはヘム鉄が多く含まれています。ヘム鉄は野菜や海藻に多く含まれている非ヘム鉄よりも体内への吸収が早く、より効率よくエネルギーに変化できます。そして亜鉛などのミネラル分と協力することで骨や肉、血を作り出していきます。
ヘム鉄や亜鉛は体内で生成することができないために牛肉などから摂取していかなければいけません。これらを摂取することで冷え性や貧血を解消し、作り出した新鮮な血液は成長することにも使用されていきます。
特に貧血気味な女性などは牛レバーに鉄分や亜鉛が多く含まれているので食べることをおすすめします。
牛肉を食べていると若々しい
牛肉にはアラキドン酸という成分が含まれています。そして人間の脳細胞を包んでいる脂肪膜の約15%ほどはアラキドン酸でできているのです。
このアラキドン酸を摂取することで脳細胞を活性化させて思考力や記憶力を向上させることができるのです。また、成長ホルモンの分泌も促すために理想的な成分と言えます。
この成分は老化が進むと減少していくと言われています。つまりこの成分を摂取することは若返りにつながると言えるのです。
また、「幸せホルモン」とも言われるセロトニンは精神を落ち着かせて安定させる働きがあります。また、脳神経や神経伝達物質を正常化させてくれるためにイライラしやすい成長期の子どもにもうってつけの成分です。
牛肉は太る、栄養が偏っているというイメージを持たれている食材ですが、実際にはまったくそういったことはありません。牛肉を食べていても太ることはないのです。
むしろ健康的に体の成長を促してくれる食材であることがわかります。その豊富なタンパク質やビタミン類、鉄分、ミネラル分は子どもの成長を助けてくれるでしょう。牛肉は子どもが嫌がることなく食べる食材でもあります。どんどん食べさせて成長を促していきましょう。