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現在世界のあちこちで日本食が注目されています。日本人は欧米人に比べて肥満も少なく長寿でもあります。これは栄養バランスの取れた食材を食べてきた日本人の作り出した日本食だからこそです。
その日本食にも多く使われているのが「大豆」です。タンパク質をはじめとして脂質、炭水化物、ミネラル分、鉄分、ビタミン類、食物繊維など様々な栄養素を含んでいながらコレステロールは含んでいないという素晴らしい栄養食材なのです。
日本では「畑の肉」と呼ばれ、アメリカでは「大地の黄金」とまで呼ばれています。ここではそんな大豆について紹介していきたいと思います。
豆腐に含まれる大事なタンパク質
タンパク質は人間の骨、筋肉、内臓、血液を作る原料となる成分で人間が生きていくうえで必要不可欠な成分と言えます。大豆は約30%がタンパク質でできています。
ただし動物性のタンパク質は脂質やコレステロールを含むことが多く、健康面では不利なこともあります。しかし大豆は植物性のタンパク質のためにコレステロールを含んでいません。
この大豆タンパク質は非常に優秀で、必須アミノ酸を多く含むだけでなく、コレステロールや中性脂肪の低下効果、体脂肪の低下、血圧の低下なども同時に行ってくれるものです。
消化吸収率が高いことも有名で、そのままの形でも90%以上、豆腐になると95%を超える吸収率を誇っています。
これらが大豆が重要な栄養素であると同時にダイエット食材とも呼ばれる由縁なのです。
大豆に含まれているイソフラボンは悪玉コレステロールや中性脂肪が血管内の壁に付着するのを阻止して排出する働きがあり、これが肥満予防になります。
さらにサポニンという成分が小腸で働きかけることで体脂肪を低下させてくれるのです。大豆を食べた際に感じる「苦み」がサポニンです。
こうして体を成長させるのに不必要な成分は排出して、必要な栄養分を成長に使用することができるのが大豆なのです。
そして大豆イソフラボンは女性ホルモンと近い働きをすると言われています。その影響で女性の更年期障害や月経時のホルモンバランスの乱れを正常化してくれるという働きがあり、さらに研究が進められています。
女性ホルモンとの関わりで髪にも影響します。男性は抜け毛が減少し、発毛効果が期待されます。女性は髪に潤いを与えると言われているのです。
タンパク質以外の豊富な栄養素
大豆は豆類ですので脂質を多く含んでいます。しかし大豆の脂質は肉類の脂質とは違って不飽和脂肪酸です。肉類の脂質は摂りすぎると悪玉コレステロールや中性脂肪を増加させてしまいます。
それが肥満につながることもあるのですが、不飽和脂肪酸はコレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあります。そのため、すぐに肥満につながるということはありません。ただし高カロリーではありますので、過剰に摂取すると肥満の原因になることがあります。
そして近年注目されているマグネシウムです。マグネシウムは血管内を綺麗に保つという効果があり、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病予防などが期待されています。さらにカルシウムと結びつくことで骨を生成する原料となります。
身長を伸ばすためにはカルシウムとマグネシウムは必要不可欠なのです。大豆にはこのマグネシウムも多く含まれているのです。
亜鉛はタンパク質を体内で生成するのに必要な成分です。また、荒れた肌を治癒する働きがあるために肌荒れや吹き出物が多い成長期の子どもが摂取すべき成分でもあります。
亜鉛と並んで日本人が不足しがちな成分に鉄があります。鉄や亜鉛は新鮮な血液を作るのに必要です。鉄が不足すると貧血の症状が出てしまいます。
カルシウムは言うまでもなく骨や歯をつくるメインの原料です。しかしカルシウムは吸収率が低いことで有名な成分です。せっかく摂取しても消化吸収されることなく排出されてしまうこともあります。
しかし大豆のカルシウムは牛乳と同程度以上の消化吸収率が認められています。積極的に摂取することで成長を促すことができます。
カリウムは体内の余計な水分、塩分、老廃物を排出するという効果があります。このために血圧を低下したり、体のむくみをとってくれる働きがあります。
同時に大豆は食物繊維を豊富に含んでいます。食物繊維はその高い整腸作用で腸内の老廃物をまとめて排出してくれる働きがあります。もちろん便秘解消にも大いに役立ちます。
ビタミン類はB群とEを多く含んでいます。B群はエネルギーを生み出す働きがあるために活発な子どもには必要不可欠です。ビタミンEは「若返りのビタミン」と呼ばれる成分です。新しい細胞を生成するのに必要となります。
成長には欠かせないと言われるのがアルギニンです。これは免疫力の向上を促すだけでなく成長ホルモンの分泌を促してくれる成分です。大豆にはこのアルギニンも多く含まれています。
欠点としてはビタミンAのもととなるβ-カロテンやビタミンCがそれほど含まれないことです。それらを豊富に含む食材と組み合わせて摂取すれば、より効果的になると言えます。
大豆はそのままで食べることもありますが、豆腐や厚揚げ、豆乳、きなこなど色々と形を変えて摂取することができる食材でもあります。
また、その豊富な栄養バランスは他の追随を許さないほど圧倒的です。健康、美容面はもちろんですが、成長期の子どもが必要とする栄養素を豊富に含有しているために、ぜひ色々な料理に利用することで毎日摂取したい食材と言えるでしょう。