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健康的に身長を伸ばすには、と考えると肉や魚、野菜をバランスよく食べるというのが浮かぶと思います。しかし意外なものが栄養素を多く含んでいたりすることがあるのです。
たとえば「するめ」です。するめはイカを乾燥させたもので、大人がお酒のあてに食べたりするイメージが強いものですが、実はナトリウムやカリウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルを豊富に含んでおり、ビタミン類もかなり含んでいるという優秀な食材でもあるのです。
ここでは「するめ」の栄養素について紹介していきたいと思います。
乾燥しても豊富なタンパク質
まずタンパク質です。するめは100g中の約70%ほどがタンパク質です。これはもとのイカの状態から変化はしません。
乾燥させた際に水分は大きく減少しますが、含まれているタンパク質はアミノ酸の組成も変化がないためにそのまま残るのです。もちろん他の栄養素もなくなったりすることはありません。
タンパク質はカルシウムや他のミネラル分と結びついて骨を作る原料となるほか、含まれているアミノ酸が様々な健康効果をもたらします。健康にも成長にも欠かせない成分と言えるでしょう。
タウリンはコレステロールを低下させて血圧を正常化させる働きがあります。その他にも肝臓の解毒作用強化、肝機能向上、糖尿病予防、疲労回復など様々な働きをもたらす成分です。よく健康ドリンクなどにも含まれていますが、これもするめには多く含まれているのです。
そして魚介類に多く含まれる貴重な成分であるEPA,DHAです。EPAは血液の中の悪玉コレステロールや中性脂肪を排出して善玉コレステロールを増加させるという働きがあります。
そのために血液の流れがスムーズになって血流が関係するような病気である動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、高脂血症、高血圧などの予防に効きます。また、免疫力の向上が見込めるために病気にもかかりにくい体を作ることができます。
最近はアルコール障害の治療薬としても使用されている成分で、肝機能を高める効果は大きなものと認められています。
DHAは少し前に評判になった成分で「頭が良くなる」と人気になりました。体内で生成することができない成分で食品から摂る必要があります。
脳細胞にまで行きわたって集中力、記憶力、学習能力を向上させる働きがあり、脳の発達や脳神経の安定に欠かせない成分です。これもするめには多く含まれています。さらにコレステロールを低下させて血液をサラサラにする効果も期待できます。
実はビタミンやカルシウムも豊富なんです
するめに含まれているカルシウムやアセチルコリン、アルギニンといった成分には張り詰めた精神を休ませて安定化させる働きがあります。これは精神が不安定になったりイライラしやすい成長期の子どもには重要な成分です。ちなみにするめを食べるときによく噛むことも精神の安定につながっています。
さらにビタミン類ではナイアシン(ビタミンB3)が多く含まれています。ナイアシンは肌荒れを予防、治癒する働きがあり、ニキビなどの吹き出物や口内炎などを鎮めてくれます。
ナイアシンは脳の栄養素としても重要で、ナイアシンが不足してくると睡眠障害や頭痛などの脳神経に関係する障害が出てくるとされています。
そしてするめにはがん予防の効果もあります。これは豊富なミネラル分とアルギニン、ペプチドグリカンというアミノ酸の一種である成分が関連しています。
これらは免疫力を大きく向上させた上にがんの増殖や分裂を抑制するという働きがあるのです。
また、コラーゲンも豊富です。コラーゲンは細胞の隙間を埋めてくれるので張りのある肌を維持してくれます。髪や爪、皮膚を美しく艶のあるものにするためには欠かせない成分です。特にするめに含まれるコラーゲンは消化吸収されやすい成分ですので、より効果的と言えます。
塩分にはご注意!
素晴らしく栄養価に優れたするめですが、食べ過ぎには注意が必要です。するめは味付けをする際に塩分が凝縮されるためにかなりの塩分を含んでいます。その量は100g食べると一日の塩分の目安摂取量を賄ってしまうほどです。
逆に糖質はほとんど含まれてはいません。そしてカロリーも100g中に約330kcalと多めになっています。
しかし実際にはするめを食べていても肥満になることはほとんどありません。
するめは食べる際にしっかりと噛んで食べるために消化酵素が作用してくれる上に口回りや顎の筋肉を多く使うためにむしろ顔が引き締まってきます。
するめ100gというと店で販売している大袋ほどの量になるためになかなか一度で食べられる量ではありません。ずっと食べ続けることは危険ですが、そもそも食べ過ぎることも難しいものなのです。
また、イカは消化にあまり良くないために腹持ちがよく、満腹感が継続します。乾燥させた食べ物なので食べると水分を吸って膨らむということもあって、他のものをあまり食べたくなくなるという意味ではダイエット効果にもなるかもしれません。
もちろんこれらは食べ過ぎた場合のみ起こることです。ほどほどに食べる分には影響しませんので気にする必要はないでしょう。
するめは大人がよく食べているイメージがある食べ物ですが、実はその豊富なタンパク質やビタミン類、ミネラル分、アルギニンなどの成分を考えると成長期の子どもこそ食べるべき食材とも言えます。
主食になるものではありませんが、毎日おやつ感覚でほどほどの量を食べることは成長を促す上で大きく役立ってくれるはずです。